スイミングストリート

 
−第48回−


寒くなってきました
 最近「ちょっと手ぇ抜いてんじゃないの?」という疑惑が生まれています、このおへや(笑)。
 そんなことはない!……ハズ??

 先日、お父さんに連れられて来た女の子に「小さいときはどんな練習をしていましたか?」と聞かれました。モジモジしてなかなか私に声をかけることができず、お父さんにずいぶんと促されてやっと言葉を搾り出す様子がかわいかった♪
 お父さんからすれば具体的かつ積極的な内容の話やアドバイスが聞きたかったのだと思いますが。しかし、私が答えたのは「私、練習って大嫌いだったのよ」(笑)。いやぁ、お父さんからすると(笑)なんてレベルじゃなかったかもしれませんね(苦笑)。でも、嘘はつけません。オリンピック選手だからって、そのみんなが小さい頃から練習が大好きってわけじゃない…私がその良い ( ? ) 例ですね。
 もちろん答えには続きがあって『練習は大嫌いでたまにサボったり、テキトーにしちゃうこともあったけど、そのあとには後悔することがよくあったよ。やっぱりちゃんとやっておけば良かったって。だからキミは後悔しないように、嫌でもサボりたくても、あとで良い思いをするために頑張って。私は銅メダルだったけど、キミは金メダルが獲れるかもしれないよ。』と。

 お父さんのお話の中には「スクールの検定で1級まで受かってから、泳法指導をしてもらっていない」という悩みがありました。「速く泳げるようになりたい」からと、技術論にこだわる人がジュニアにもマスターズにも非常に多く見られます。もちろん、私たちコーチは正しい泳ぎ方、その人のための泳ぎ方、練習方法などを教えるのが仕事です。その中には速く泳ぐための技術も含まれていますが…それだけです。どれだけ技術があってもそれを体現するための体力(持久力)や筋力などは個々の努力でもって補ってもらうしかありません。それは単純に、泳ぐ機会と泳ぐ距離を増やすと言うことです。

『継続は力なり』…最近、この言葉の重要性を特に感じています。どんな一流アスリートでも最初はできないことのほうが多かったはずです。しかし続けることによってできることが増えて行き、できることが多くなってもさらにできることはないかと追求していくことによって、一流へと変貌していくのだと。

 突出した才能や、持って生まれた素質や、恵まれた体格がなくとも、「続ける」ことはできます。逆に才能や素質に恵まれたとしても、続けることができなければ結果は出せません。そして、それらが自分に備わっているかどうかは誰にもわからないこと。結局、目標を達成するために自分でできることは…『続ける』ことだけだと思います。スポーツの結果に奇跡はありえません。結果の裏には必ず根拠や理由があります。それはどれだけ練習を積んできたか、あるいはどれだけそのための時間を割いてきたか、ということでしょう。勝負の神様は時に気まぐれを起こすことがありますが、それさえも日々の頑張りに対するご褒美だと思っています。

 その『続ける』ために重要となってくるのが、家族の協力や仲間との助け合いです。特にジュニアには辛いトレーニングよりも魅力的なことがあるかもしれません。そこはお父さんお母さん、ぜひ心を鬼にしていただきたい!親が諦めることは、子供にとって絶好の逃げ道を作ることになります。もちろん、思い切ってやめるという決断が必要なときもありますが、できることなら子供さんと一緒に簡単ではないほうの道を選んで欲しい。その先にはきっと何らかのゴールがあるはずですから。


おめでとう
 埼玉西武ライオンズ、優勝おめでとうございます!いやぁ、面白い日本シリーズでしたね!!長打打線チーム同士の対決となった日本シリーズですが、最後の勝負を決めたのは繋ぐ野球だったというところがまたドラマチックでした!
 ワタクシ、昔は父の影響もあって、大の巨人ファンでした。昔…と言ってもそれほど前のことではなく、大学生のときにはアンチ巨人の友人と「巨人のあり方」について、閉店まで居酒屋で議論したこともありました。それがここ数年は…土地柄仕事柄、周りに阪神ファンが(異常に)多いこともあり、巨人への興味が薄れてきてしまいました(汗)。確かに徳島ヴォルティスが誕生してからはサッカー寄りになっていますが、野球そのものは昔と変わらず好きです。特にパ・リーグには注目していて、今年の西武はやってくれるんじゃないかなーって…実は思っていました (* ⌒∇⌒ *) テヘ♪

 え〜っと。したいのは野球の話じゃなくてですね(苦笑)。西武の優勝の様子を見て、「『勝つ』って良いなぁ」とシミジミと思ったんです。それはプロでもアマチュアでも、ジュニアでもマスターズでも、小さな大会でも大きな大会でも。『勝つ』ということは自分も周りも幸せにすることができる魔法なのでしょう。

 私の高校3年間は一番水泳がつまらない時期でした。たとえベストタイムが出なくても、とにかく優勝できればいいんだと。優勝しても「嬉しい」ではなく「ホッとした」という感じで、とにかく「負けるのが怖い」と思っていました。それは私だけではなく周りにもそう思われていたようで、「負けるな」「負けたらダメだ」「勝たなきゃダメだ」「勝って当然だ」そんな空気が強くあり、今でこそ「負けるのが怖かった」と言うことができますが、あの頃はそんな悩みを打ち明けることすらできませんでした。いま思えば、ずいぶんとひねくれた性格をしていたのかもしれません(苦笑)。「『勝つ』っていいなぁ」そんな単純な喜びを忘れていては楽しく泳げるはずもありません。

 しかしプロともなるとその単純な喜びだけを求めるわけにはいかないのかもしれませんね。勝敗が自分だけの利益だけではなく、家族や会社やファンへの責任がある…あぁ、3年連続最下位の我らが徳島ヴォルティスにとっては辛い話です(涙)。でも、辛く悔しい思いするからこそ、勝つ喜びを心から噛み締めることができる。『勝つ』という、極めて単純で、明快な喜びのために水泳も野球もサッカーも…このオフシーズンにしっかりトレーニングをすることが実は何より大切。水泳に限らず、このコラムを読んでくださっている、すべてのアスリート(自称も含む)の皆さん、このオフシーズンで良いトレーニングをしましょう!


源 純夏(みなもと すみか)

1979年5月2日生まれ。50m自由形日本記録保持者。
アトランタ、シドニーオリンピックに出場。
シドニーでは400mメドレーリレーの第四泳者として銅メダル獲得に貢献。
念願のエンジョイスイマーになりつつありますが、心の奥には常に闘志を秘めている!?

純夏の棲家(ブログ)
http://ameblo.jp/sumikaminamoto/
ワールド・スイム・アゲインスト・マラリア
http://www.worldswimagainstmalaria.com/default.aspx

源純夏さんにお便りを出そう!