スイミングストリート

 
−第83回−
『4月は真夏』


昔、といっても10数年前くらいだと思うが、4月最初にある大会は「日本室内選手権」という名前だった。その頃の1年の流れはその日本室内選手権でシーズンが始まり1年のメインである日本選手権は8月初めに行われるという流れであった。「水泳は夏のスポーツ!」という考えが通っていたのか、誰もがその流れが「日本の夏!」だと思っていた。

ある年、室内選手権を視察に来た日本水泳連盟の役員の「あんなレベルの内容で日本室内選手権なんて名を語るのはおかしいのではないか」とひとこと。その結果、大会名が「室内選抜飛込競技大会」になってしまった。それもしかたがないのかなと思う。飛込台のある室内プールが少なく、4月最初に演技種目を仕上げるのは至難のわざだった。
 
当時のことだが、わたしや他の仲間たちは4月の室内選抜前の2〜3月の練習場所をアメリカに求めた。ヒューストンやインディアナポリス、フォート・ロ・ダ・デールやオーランドで6週間以上お世話になった。あの時にかかった費用はかなりの額だったと思う。両親とコーチが費用を捻出するためあちらこちらへ走ってくれたのだった。ほんとうにありがたいことだ。
 
今は中国へ練習場所を求めて合宿に行くチームが増えてきたようだ。同じアジア人としての交流もできるし、なんといっても中国は世界のトップである。練習できるだけでなく、世界のトップクラスの練習を見学できるというプラスアルファがついてくる。

 
昨年から、日本選手権が4月に移動してきている。まだ固定されたわけではないが、今年は4月最初に2009年度の日本一が決まるのだ。昨年は8月にオリンピックがあったので4月に移動し、今年は7〜8月に世界水泳とアジアジュニア選手権、ユニバーが開催されるという理由から4月開催となったようだ。
 
今回の日本選手権では世界水泳とユニバーシアド大会、グランプリ大会の代表選手が決まる。どの選手も練習に気合いがはいっていることだろう。室内プールが増えたとはいえ、いまだ十分な練習日を確保できるわけではない。どのチームも練習場所確保に走り回っているので、私が選手だった時代とそう変わりがないようにも思える。
 
 
とにもかくにも、この4月3〜5日、日本選手権が開催される東京辰巳国際水泳場は一年で最も「アツく」なるはず。「まだ4月だけれど気持ちは真夏!」という演技に期待したいと思う。そして私は観客席を1人でも多くの人で埋められるよう努力したいと思う。がんばれ、日本!!




−Profile−

金戸幸(かねとゆき) 旧姓:元渕

1968年12月23日、東京生まれ。
3歳よりバレエを始め、天理に越したのをきっかけに、9歳より飛び込みを始める。


主な成績


1995年 US国際大会で1M優勝。
ソウル・バルセロナ・アトランタ五輪に出場。
アトランタ五輪では、3M飛板飛込で6位入賞。
選手を退いたあと、翌年(1997年)結婚。
現在、1男2女の母。

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