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東京で飛込みを教えている(習っている)人間にとって、実は今とてもピンチなことが起きている。それは東京都唯一のダイビングプールがある東京辰巳国際水泳場での練習が週に1日しかできなくなってしまったことである。愛好のレベルではなく競技スポーツとして戦うため週に6〜7日練習している他のチームの選手らと勝負する!という現実が目の前にあるのに週に1日とは!・・・。2013年開催の東京都国体に向けて強化案を出せ!といわれても、週1では何もできない。これが悲しい現実として私たち指導者を悩ませている。
水泳競技は冬場の練習場(プール)確保が難しい。競泳はスイミングクラブの全国的な普及から練習場所には困らないようだ。しかし飛込みはダイビングプールでしか練習ができない。そのプールをシンクロさんやスキューバダイビングさんなどの貸し切りで一般開放が週に1日になるとはなんという悲しい出来事なのか。
東京都水泳協会に登録しているダイビングクラブというと、実はうちのKANETOのクラブしかない。愛好者のかたも含めて20数人というところだ。ダイビングプールはなかなか人気で常に団体貸し切りが入っているので、私たち飛込みまでもが貸し切ってしまうと愛好者の方々や一般の方々がダイビングプールを利用できる日がなくなってしまうことから、私たちはこれまでクラブで貸し切りをせずに一般開放の時間帯に練習をしてきた。しかしとうとう週1しか使えなくなってしまい、私たちは心の中で悲鳴を上げながら隣の県にあるT総合プールに通わざるをえなくなった。
この現実を聞いて「でもT県で練習できるのならいいじゃない。」といわれたことがある。そんな、なにをいうのか! とんでもない!! 東京都の選手なのに東京で練習できないなんて絶対におかしい。日本の中心である東京なのに・・・。他県に頼ってばかりでは今後東京都からは確実に選手が育たない。今いる選手たちでさえ離れていってしまうかもしれない。
今夏公開された映画『DIVE!!』のおかげだと思うが、うちのクラブには「飛込みを習ってみたいのですが…」とか「東京で飛込みを教えていただけるクラブを探しております…」というような内容の問い合わせが今年は例年の5倍以上寄せられている。選手発掘のチャンスなのに私たちは電話口で「東京には一般公開をしているプールがあるにはあるのですが・・・」となんだかはっきりしない返事しかできない。こんな悲しいことはないと連日嘆いている。
それだけではない。こんな心配もある。辰巳プールでは来年8月にアジア・ジュニア選手権の開催が決まっている。アジアから強豪たちがアジアの頂点を目指してやってくるわけだ。ここでひとつ問題がある。それは辰巳には陸上練習施設(通称ドライランド)がないこと。宙返りマットは少しあるが、トランポリンや陸上板のようなスペースが全くない。いや、スペースはあるが設備がない。国際大会の場合、選手・コーチはまずプールについたらプールを目で確認したあと必ずこう聞く。「で、ドライランドはどこ?」と。トレーニングにドライランドは欠かせないからだ。このままアジア・ジュニア選手権を迎えれば他国の選手・コーチたちに大ブーイングされるのではないか。しかも2016年のオリンピック開催に立候補している東京としては大きなイメージダウンになりかねない。飛込み競技はオリンピックでは入場チケットが常に3位以内に売り切れる大人気種目である。オリンピック招致委員会が行う施設視察として水泳会場のポイントは高いはず。さあ、どうする東京!
辰巳プールができて10数年がたつ。それは私が現役選手だったころで、プール開きのデモンストレーションで演技を披露した思い出がある。日本の中心地に立派なプールができ、その当時はまだ他県がしていなかったダイビングプールの一般公開を先駆けたのが辰巳プールであった。そしてこの10数年のあいだにいくつもの室内総合プールが開館し、辰巳プールを見本として施設を造っていった。プールサイドにドライランドを併設したプール、別室にドライランドを作ったプール。よりいいものを・・・と見た目の立派さだけでなく選手強化に即したプールができていった。そして何よりダイビング利用のルールもどんどん柔軟になり、ダイビングプールをシンクロさんや日本泳法の方々と同時間に共用利用できるようになっていった。そして気がつけば、ドライランドがないのは辰巳だけ、供用利用ができないというルールがあるのも辰巳だけと、とうとう時代に取り残されてしまった。10年ひと昔という言葉があるが、そろそろ東京を代表するプールとして新設当時のルールを見直し、今の時代に合った新しいものに変えていかないといけないのではと最近つくづく思うのだ。
今回のコラムはあまり楽しくない内容のものになってしまい申し訳なく思います。でも、選手強化の現場にいるものとしての声がなかなか届かない現実をガーッと吐き出したい衝動にかられてしまいました。でもわたしはこんなことでは負けやしません! 何くそ! こんな逆境でもとことんやってやる! と鼻息荒くしつこくプール通いしています。いつか「そういえば、そんなこともあったわね、あはは・・・」と笑い飛ばせる日が来るのを信じて・・・。
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