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この原稿がメールマガジンに載る頃にはもうすでに北京の空の下では飛込み競技が始まっている。
私はテレビ解説の仕事のため 9日に北京入りするが、気持ちは北京での熱い戦いと地元のプールで練習しているちびっこ選手たちとの間を行ったり来たりしている。
4年に一度オリンピックが開かれるが終わると同時にその4年後に向けて実は毎回大幅なルール改正が行われている。
ということで私が12年前に経験したときとはかなり参加基準や試合の内容が変化してきた。
一番大きな変化は制限選択飛びがなくなったことだろう。
制限選択飛びは難易率の上限があるので、比較的簡単で基本的な演技を選ぶ。グワーンと板を踏み優雅にフォームを作りきれいな身体の線を見せる、つまり基本がきっちりできていないと点数を稼ぐことはできない種目だ。
それがすべて自由選択飛びとなった今、ジャンプした瞬間からクルクル回ったり捻ったり、水際ぎりぎりまで演技していてダイナミックではあるが回転とスピードに目がついていかないくらいに難しい演技を選択しないといけなくなった。
人間の能力の限界の動きに近づいているのは確かだろう。
10年前では10mで207B(後ろ宙返り3回半蝦型)を飛べる選手は世界中に数人、しかも男子だけであったが今は女子で飛ぶ選手が出てきた。
307Cも男子の種目と思われていたが、女子で飛ぶ選手が出てきてしかもノースプラッシュをするから恐ろしい世の中になったものだなんて思ってしまう。
2000年のシドニー大会女子高飛込みで金メダルを獲ったアメリカのローラ・ウィルキンソンは2004年アテネ大会ではメダルを逃したがその後結婚し、最強の種目を揃えて全米選考会を勝ち抜き、今回三度目のオリンピックの代表となった。
彼女の演技は107B、207B、307C、407C、5255Dである。8年前より宙返りも捻りも1回増えている。
アメリカでは最終選考会は会場のチケットが完売するほど人気でテレビ中継される。日本で見ることはできないが、インターネットの動画サイトで彼女の素晴らしい演技を何本か見ることができた。便利な世の中である。
彼女は演技する前に台の上でいつもニコニコと笑う。プレッシャーなど関係ないといわんばかりだ。
今大会、私は彼女の演技に注目したいと思っている。
すでに金メダルをもっているのに種目の難易率を上げ、挑戦者の姿勢を忘れない。彼女が目指すものは何なのか、この目で見てきたいと思っている。
そしてもちろん彼女だけではなく、参加する選手すべての熱い思いのこもった演技を目に焼き付けたい。
今、開会式を見ながらパソコンに向かっているのだが、この地に行ける幸せをつくづく噛みしめている。
参加する全選手へ、グッドラック!
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